最近、あちこちで見かけるようになった風景
「最近さ、地元を車で走ってると、空き家が目立つようになったと思わへん?」
「 確かに。昔は人が住んでたはずの家に草が生えて、窓が割れてるのも見かけるよなぁ 」
「 うん、あれを見ると“もったいない”だけじゃなくて、地域のこれからが少し心配になるんやわ 」
「 この前、久しぶりに実家の近くを歩いたんやけどさ、○○さんち、もう住んでない感じやってびっくりしたんよ 」
「 それで草がのび放題になってしまってたら、まさに社会問題やな。景観も悪くなるし、防犯上も心配やん 」
「 そうそう。しかも、相続の話がまとまらないと手放せないっていうケースも多いみたいやし。売るに売れない、貸すに貸せない…って状態が放置につながってるんやんね 」
「 そう…。でも空き家って、見方を変えれば資源になるんちゃうかなと思うんや。たとえば、移住してくる人や若手社員の住まいに活用できたら、会社としても助かるはずやし 」
「 そうやね!たしかに、社員寮や単身者向け住居として再利用できれば、採用活動にもプラスになりそうやね 」
こうした日常の何気ない会話からもわかるように、私たちの身近なところでも「空き家問題」は年々深刻さを増しています。 総務省の統計によると、全国の空き家数は約849万戸(2023年調査)と過去最多を更新しており、そのうちの半数近くは「その他の住宅」、つまり誰も住まずに放置された状態です。
三重県における空き家問題の現状
三重県も例外ではなく、住宅総数に占める空き家率は全国平均に近い水準で推移しており、特に郊外や過疎地域での増加が顕著です。
津市や松阪市といった中核都市でも「築30~40年の住宅が放置されている」というケースをよく耳にしますし、伊賀市や尾鷲市など高齢化が進む地域では「住む人がいなくなった実家が空き家化」する例が急増しています。
背景としては、
- 高齢化による独居世帯の増加
- 相続問題で処分が滞る
- 修繕費や解体費用の負担の大きさ
- 都市部への人口流出
空き家が地域・企業にもたらすリスク
「家が空いてるだけでしょ?」と思われるかもしれませんが、空き家を放置することには大きなリスクがあります。
- 防災リスク:台風や地震で倒壊・瓦礫化の恐れがある。
- 防犯・治安リスク:不法侵入やごみの不法投棄が増える。
- 地域ブランドへの影響:観光地や住宅地の景観を損ねる。
- 地価下落:近隣物件の価値まで下げてしまう。
これは、地域に根ざして事業を展開する企業にとっても無関係ではありません。従業員の暮らす環境が悪化すれば定着率にも影響しますし、取引先を招くときの印象にもつながりかねないですよね。
空き家問題と人材活用の接点
一見「不動産の問題」と思われる空き家が、人材ビジネスや企業活動にどう関わってくるのかをみてみましょう。
- UIJターン人材の住まい確保
地方での人材確保には「住まい」が大きなハードルです。空き家を改修して単身者向けやファミリー向けに提供できれば、UIJターン希望者の受け入れがスムーズになります。 - 社員寮・社宅としての活用
新規採用の若手社員や派遣スタッフにとって、手頃な住居が近くにあることは大きな魅力です。空き家をリノベーションして活用することで、採用競争力の向上に直結します。 - 新しい雇用創出
空き家管理、清掃、改修工事、リノベーション、さらには利活用後の運営(民泊・カフェ・オフィス)など、多様な雇用を生み出します。これは人材派遣・人材紹介の新しい分野にもなり得ます。 - DXとの融合
ドローンで屋根の点検をしたり、IoTセンサーで遠隔管理を行ったりと、最新技術と人材を組み合わせることで、次世代の空き家管理ビジネスが生まれます。企業が新規事業として関わる余地もあります。
私的には「UIJターン人材の住まい確保」を自治体との連携が上手くできて企業が推進できたら、人材活用の推進特区として三重県の価値が全国的にも注目されると思っています。
私たちも具体的な動きは出来ていませんが、専門情報サイトに求人情報を掲載しUIJターン人材の確保を行うことは、都市部から見た三重県の素晴らしさの開拓や、学生が進学時に都市部へ進学しても、“こういった方法で三重県の優良企業と縁が持てるんだ!”という形づくりになりますし、UIJターン人材を採用したい企業にとっては絶好のスタイルが確立できることになるでしょう。
三重県での具体的な取り組み例
- 津市の「空き家バンク」:所有者と利用希望者をマッチングする仕組み。
- 伊勢市の移住促進事業:移住者向けに空き家をリノベ済みで紹介。
- 志摩市での民間活用:空き家をゲストハウスやカフェにリノベして観光資源に。
これらは「空き家対策」であると同時に、「人材活用の新しいフィールド」でもあります。
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